桜の下で思い出したもの・・・ということで、
私は西行法師の 願はくば花の下にて春死なむ・・・・を思い出したという話をしていた。 そのとき、かっくいい写真を撮り、映画通、文学通でとにかく、怪獣博士でもあるpolaさん が、壇一雄氏の「花筐」を思い出す。と言っておられた。 壇一雄氏の小説は、今から20年ほど前に「リツ子・その愛」「リツ子・その死」を読んで、衝撃を 受けたものの、その後「火宅の人」に続き、そこで、おりしも映画化と重なって、世の中でちょっと 話題になってしまったので、それを境に読まなくなってしまったという・・・そのころから根っからの ひねくれものの私を今再確認するのであった。とほほ。 で、久しぶりに図書館に行って、住宅関係以外の本を借りる。 一緒に絲山さんの本も借りる。好きだから。 で、どうだったかというと・・・ ああ、久しぶりにこういう世界に触れました。 白い肌の下の血管にどくどくと、若さの狂気が流れている感じ。汗と洋館と煙草と藤棚、夜光虫 ベルモットの盃、白い着物、死の床・・・。 あとがきを読んでみますと、氏が、観念の劇として創作した悲劇に、実生活で直面し、 その自ら作り出した観念に復讐される・・・・そしてその体験を真正面から受け止めた 作品が「リツ子・その愛」「リツ子・その死」であったと。 20年前に手にして衝撃を受けた思い出と、縁あってお付き合いさせていただいている polaさんが桜を見て思い出す小説とが繋がっていたことが、実に不思議で、なんだか 縁というのはつくづく面白いなぁと思うのでした。 皆様の思い出すものも、教えて下さいませ。 広がりも、つながりも面白いですから。 polaさん、漢字が難しくて、困りました。気合で読んじゃったところあり。 桜じゃなくて藤だったかも。でも妖しくぼぅっと光る感じ、揺れる感じが春、初夏の 生ぬるい季節に重なります。 読んでいる間に、私も今更ながら気づきました。 今、桜を思い出すと私は、泉鏡花の「外科室」の世界に入っていくようです。 そして、間違いなく、来年の桜の下で、polaさんがこの「花筐」の世界を思い出しているかな・・・ と考えるに違いありません。
by yocchi0220
| 2009-04-21 22:25
| ひとりごと
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